困った。

……ない。
昨日確かにそこに掛けたはずのそれが、あるべき場所にない。

この季節、それなしで外に出るのは正直遠慮したい。
しかし、ないものはない。

試しに階段を上って、扉を開けてみる。
流れこんできた冷えた風が、皮膚を刺した。
夜が明けきる直前の外気は、寒いというよりむしろ痛い。
ちっと舌打ちをして扉を閉め、階段を引き返す。

……どこへいった。

この狭い部屋の中だ、万一盗られでもしていないかぎりはこの中にある。

………

そうして地下の部屋を隅々まで調べた。
が、見つからない。
鍵はかかっていた、盗られるはずがない。
なのに、ない。

部屋の隅に置かれたベッドの中から、小ネズミが這い出して寄ってくる。
ベッドの上には規則正しく上下する膨らみ。

……まさか。

シーツを掴んで捲り上げると、まさに今まで探していたそれを体に巻きつけて、同居人が眠りこけていた。
腹立たしくなって頬をつねる。

「おい」
「……いっ、…ネズミ…? なに」
「なに、勝手に人のもの借りて暖をとってる」
「寒かったんだ」
「そりゃお互いさまだ。…ああもう、無駄なことした。返せ」

まだ半分寝ぼけている紫苑からそれを取り返して、肩に巻きつける。

「…皺になってやがる、あーあー」

少し皺の寄ったそれは、けれど温かさが残っていて悪くはなかった。






やーコレいつ書いたんだろ!
PC内整理してたら発掘しました。
好きなひとのぬくもりっていいよね、な話でしたー^^;



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