市場から帰ってくる途中、おかしな男達に追いかけられた。
 裏路地に引きずりこまれそうになったので無我夢中で抵抗して逃れた。
 男の一人の腕に強く掴まれた時の、自分の腕に残った感覚と男の指の痕が
何となく不快でならなくて、いつもより少し早いけれどシャワーを浴びようと
紫苑は浴室に向かった。

 …早く、洗い流してしまいたかった。


* * *


 シャワーを浴び終えて湿った髪の水気を拭いながら、目の前の全身を映せる
鏡で紫苑は改めて自分の身体を見た。
 ぐるりと身体の上を蛇行する蛇は変わらず紅かった。
 右腕に目をやると、男に掴まれた時の紅い指の痕がまだ残っていた。

「…ネズミ」

 ネズミが入ってくるのが鏡越しに見えた。ネズミも鏡越しに見えた紫苑の腕に
浮かんだ不自然な赤い痕を見て眉をひそめる。眉をひそめると同時に後ろから
腕を取られた。けれど、不快ではなかった。
 腕の赤い痕の上を示すネズミの人差し指が鏡に映る。

「これ、どうした」
「帰ってくる途中で…男に捕まりそうになった」
「へぇ」

 それだけで腕は解放された。代わりに肩を掴んできた腕に身体を反転させられて
ネズミと向かい合う形になる。

「ネズミ? なに……ん、」

 いきなり首筋に触れてきたネズミの唇に鎖骨のあたりを強く吸われた。
 痺れるような感覚が走って、顔を上げたネズミと目が合う。意地の悪い笑みを
浮かべていた。
 ネズミは何も言わずにそのまま浴室を出て行った。

 鏡に向き直って確認する。
 首筋に巻きつく蛇の横にうっすらと紅い痕がついていた。




「困るな」
「何?」

 服を着て出てきた紫苑がネズミに言った。

「これ、シャツのボタンを留めても外から少し見えるじゃないか」

 ネズミが痕を残した場所はちょうど服に隠れるか隠れないかの微妙な位置だった。
 むろん、そうしたのは、わざと。

「……ああ。誰かに訊かれたら虫さされとでも言っておくといい」

 楽しそうな笑み。
 しかしこれは…今は冬で着こんでいるからまだいいものの、

「きみと夏を迎えるのが嬉しいようで、ある意味恐ろしい気がしてきた」
「気のせいさ」

 優雅な仕草で紫苑の頭を一撫でして、その肩にかかるタオルを取って浴室へ消えて
いくネズミの後姿を紫苑は何故だか見つめていた。




な ん だ こ の ば か っ ぷ る は 。
わたしの趣味以外の何者でもなくていっそ笑えます。鏡越し萌え…!
というか、なんでデスノ11巻の表紙を眺めていたらこのネタが
突如降りてきたんだ…!? 魅上マジック!?(苦笑)
魅上大好きです…あぁ本誌でデスノおわっちゃった…(←関係ない
すみませんキスマークという名の所有印萌えでした!




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